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歯科矯正・歯列矯正専門?それとも近所の歯科?

 皆さんどうやって治療に行く矯正歯科医院を選びましたか?標榜科目?標榜していればインターネットの検索でヒットしますよね。では標榜科目ってなんでしょう?標榜の仕組みを知ると歯科医院選びに役立つかもしれません。
 標榜科目は電話帳でも調べられますし、看板にも書いてあります。

 さて、標榜科目ってなんでしょう?

 歯医者さんは、一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科の4つのみを看板に出すことができます(歯科医師法という法律で決められています)。これは歯科医師免許があれば、4つ全部の看板を出すことができます。しかも自己申告制です。試験もありません。講習を受けなくてもOKです。更新もしなくて構いません。歯医者が、勝手に選べるんです。そんな状況で皆さんは自分の身をゆだねる歯科医院を決めなくてはなりません。ご存じでしたか?

 例えば皆さんが食事に行く時を考えてみてください。あそこのお店の○○が食べたいっていうときはありませんか?おいしい○○が食べたいなぁ、と言った場合はどうですか?どうやってお店を選びます?だって、一人で和食も洋食もさらには中華も全部おいしいものを作っているお店が存在しないですよ。もし食べたいものが決まっていれば、中華がおいしいお店、和食の店、お寿司屋、パン屋、イタリアン、フランス料理それぞれのおいしいお店を探しますよね。広い知識と高い技術をパン作りに力を注ぎ込むからおいしいパンができるんです。おいしいパン屋さんが作った”おにぎり”は必ずしもおいしくはないと思います(パン屋さんごめんなさい)。

 では風邪を引いたどうしますか?
 内科にいきますよね。骨が折れたら整形外科、耳の病気なら耳鼻科に行くのは当たり前なのに、歯医者選びだけ別に考えていませんか?

 実は看板の中には、一般歯科大得意、小児歯科苦手だけどOK 矯正歯科少々苦手などと言った意味も含まれているかもしれませんが、それは法律的に書けません。私の個人的意見ですが、歯列矯正に関して言うと、単独で標榜しているところの方が治療技術が高くなるだろうということです(あるいは、しっかりした技術を持った矯正歯科医に会う可能性が高くなる)。

 歯列矯正のみを標榜しているのには訳があります。
 歯列矯正治療は他の歯科治療と異なり、卒前の教育のなかで実習することはできません。卒後に本格的に治療技術を学ぶといった、歯科界の中では特殊な存在なのです。だから自信を持って単独で標榜しているのです。とはいえ医療である以上リスクを伴います。矯正治療によるリスクは次の段落でご確認下さい。
 
 歯科矯正治療は公的医療保険適応外(一部を除く)の自費(自由)診療となります。
 動的治療期間は一般的に概ね2年(1−1.5か月間隔の通院)、保定治療期間が概ね2年(2−3か月間隔の通院)であり長期間にわたる通院となります。
 さてあなたならどこで歯列矯正治療を受けますか??? 
 
 デジタル化について
 
最近よく耳にするデジタル化、当院でも3Dデジタル技術を利用した矯正治療に大きく舵を切り、治療結果の品質を担保するよう努力を行っています。
 
デジタル化の第一歩として口腔内スキャナーを取り入れ、歯の型取りを旧来のものから変更しました。
 
従来の型取り(印象採得)の代わりに光学スキャナーで歯牙、歯列、歯肉形態を読み取り、コンピューター上にそれらを再現します。石膏模型を使用して手作業で行っていたものを、専用ソフトウェアを用いてコンピューター上で治療ゴールのシミュレーションを行うことに変更いたしました。
石膏模型では1つの模型で1パターンのシミュレーションですが、コンピュータ上では何通りものシミュレーションが可能で、治療法の選択を迫られた際、それらの比較が容易になっております。また石膏模型ではスタートとゴール以外は確認できませんでしたが、コンピュータシミュレーションでは治療過程も確認が可能となりました。
 
さらに歯科用CTを用い、肉眼的には見ることのできないパーツをビジュアル化(見える化)し、効率的な歯の移動をシミュレーションすることが可能となります。従来のレントゲンでは2次元のデータでしたが、3次元データを利用して正確、安全な診断治療を行います。
 
このように、治療を受ける皆さまにとって、治療ゴールは視覚的にわかりやすく、難解な歯科矯正のはなしも理解しやすくなったことでしょう。
 
口腔内スキャナーは従来の歯型取りとは異なり、型枠よりも小さなカメラを使用します。そのため、えづく(嘔吐反射)心配はほとんどありませ。また苦しければ一旦停止し、一休みしてからの再開も可能です(従来の型取りは固まるまでの数分間は、なにがなんでも待たなければなりませんでした)。型取りが苦手な皆さまの負担は大幅に軽減されます。
 
当院でも上記カメラ、CTを含め様々なデジタル技術を積極的に利用しております。
デジタル化された歯型を活用して診断、治療計画の立案を行っており、3次元的に見える化された治療計画をご覧に入れながら説明をいたします。わかりやすく、イメージも伝わりやすいでしょう。
 
矯正治療結果の良し悪しの重要な項目として術者の技量があります。アーチワイヤーを用いたマルチブラケット装置による治療では手作業でワイヤーを曲げています。当然ながらその技術レベルによって歯列矯正の完成度が左右されているのです。当院で契約している会社では、ロボテクノロジー、デジタルデータを利用してマルチブラケット用のアーチワイヤーを製造しております。わたくしも研鑽を積んできた自負はありますが、コンピューターテクノロジーを利用することで、見える化されていない”術者の技量”という部分は、皆様に”見える化”できたのではないかと思っています(*海外技工物のため、完成物が薬機法対象外です)。
 
また、マウスピース型カスタムメイド矯正装置でも、従来のように石こう模型を手作業で歯の移動を行なっている場合には術者、製作者のさじ加減が治療結果を左右しているのです。これらもコンピューターテクノロジーを用いることで、手作業のさじ加減がなくなり、当院でも精度の高い装置を作製、使用することができるようになりました。
 
このようにデジタル技術を矯正治療に利用しているクリニックでは特殊なソフトウェアで設計し、3Dプリンターやロボテクノロジーを用いることで、今まで手作業で行ってきた工程(技量に左右される)を誤差なく正確に再現しながら、高品質の装置を使用することができます。当院でも口腔内スキャナーで得られたデータをソフトウェアで加工し、装置の作製、治療計画の立案に利用しております。当院では3Dプリンターを2台有しており、必要に応じて模型や装置をプリントアウトして使用しています。
 
デジタル化されたデータを使用するのはあくまで”人”です。効率の良い歯牙の移動方向、移動様式の選択はあくまで経験豊富な矯正歯科医が選択をしているのです。精度の向上や視覚化という点でデジタル化は今までよりも多くの利点がありますが、これらを経験豊富な知識を持った矯正歯科医がこれらを制御することで、ようやく両輪として治療に作用し、治療品質が格段に上昇するのです。
 
デジタル化することで従来の型取りで見られた歪み(変形、膨張、収縮)が抑えられ、精度の向上を実感しておりますし、ロボティクワイヤーの使用によって効率的な歯牙移動が進んでいると感じておりま。さらに治療結果に直接結びつくものではありませんが、時間短縮、産業廃棄物の削減など多くのメリットがあることがわかってきました。
 
今後もさらにデジタルテクノロジーの利用を進めていきたいと思っております。
 
web,SNSでの矯正歯科の宣伝について
現在執筆中
 
 
 
矯正歯科治療に伴うリスクその他注意事項について
歯根吸収
 矯正治療により歯根(歯の根っこ)吸収が起こる可能性があります。ほとんどの場合、その程度は肉眼での確認は不可能で、臨床上の問題はありません。レントゲン写真で確認できるほどの根の短縮の場合でも日常生活に支障を来すことはほとんどありません。ごくまれに、病的な吸収が生じることがあります。現代の医学水準では事前に病的吸収が生じるか否かを判断することはできないと考えられています。そのような状況を早期に判断するために、定期的にレントゲン写真を撮影させていただきます。もし、病的な吸収があった場合、その後の対応をご相談させていただきます。
顎関節異常
 様々な情報のなかに、矯正治療により顎関節異常(顎関節症)が生じた、あるいは逆に矯正治療により顎関節異常が良くなったという物が見受けられます。現在まで、明らかに矯正治療により顎関節異常が生じた、矯正治療により顎関節異常が治ったことを直接的に証明する信頼度の高い研究発表はありません。にもかかわらず、矯正治療中に顎関節症を生じることがあります。これは、潜在的に顎関節にあった異常が顕在化してきたものと考えられています。こうした場合、早期に対応することが望ましいため、矯正治療を一時的に中断し、顎関節異常の処置を優先することがあります。
 
歯髄壊死について 
 
 矯正治療によって歯髄壊死の生じる可能性が1%程度あると報告されています。前兆もなく歯髄炎が発症し、神経が失活します。歯が変色することもありますが、痛みがないこともあります。矯正治療中の歯髄壊死全てを、矯正治療が原因なのか特定する事は難しいのですが、矯正治療が原因である可能性が否定はできません。好発部位は上の前歯と言われており、好発年齢、性別等は報告されていません。対処方法としては一旦矯正治療の力を弱めたり、抗炎症剤を服用していただいたりしますが、多くの場合は歯髄血管が損傷し歯髄壊死が発生します。その場合は、一般歯科医院にて根管治療を受けていただきます。歯の変色については、漂白もしくは補綴物により対応していただくことになります。通常はこの根管治療にかかった費用は矯正治療の保証の対象にはなりません。
 
口腔清掃不良について
虫歯
 矯正治療中は装置により、口の中が汚れやすくなっています。清掃不良により、虫歯のリスクが高まると考えられています。矯正治療中には、装置に適した磨き方が必要になるため、当院では専任衛生士を中心に、歯ブラシ指導あるいはフッ素指導を行っています。お口の中をきれいに保つよう心がけてください。
 
歯肉炎・歯周炎
 虫歯同様に、清掃不良は歯周炎・歯肉炎のリスクを高めます。矯正治療中に歯周炎・歯肉炎があまりに進行すると、一時的に装置を取り外し、他院での治療を行う必要があります。やはり装置に適した磨き方を、専任衛生士により指導を行います。
 
歯の変色
 清掃不良により、装置周囲に汚れがたまります。進行すると境目が虫歯になり、取り外した際に変色がみられることがあります。ブラッシング方法を指導しますので、指示通り行うよう心がけてください。矯正装置をつけると、お茶などによる外来性の色素沈着もしやすくなります。当院では、特別な器具(重炭酸ナトリウムによる着色除去)による着色除去を行っております(毎回ではありません)。気になるようであればお申し付け下さい。
 
治療の協力について
 矯正治療を一日でも早く終わらせるために、ご協力をお願いすることがあります。矯正装置の中には、取り外しが可能な物があります。このような場合、状況に応じて使用時間を指示させていただきます。指示した使用時間と治療の進み具合(あるいは効果)により装置の適否を判断する場合があります。さらに、24時間使用をしていただかないと効果がない場合があります。ご理解の上ご協力くださいますようお願いいたします。
 また、矯正治療中は食べ物を若干制限させていただく場合があります。虫歯にしないための場合と、壊れやすい装置が入っている場合とがあります。装置の破損は治療期間の延長につながりますので、こちらもご理解の上、ご協力お願いいたします。
 
治療計画の変更
 様々な状況により、最初にお話しした治療計画を修正・変更を行うことがあります。例えば、受け口などであごの矯正治療をしている場合、一般的に思春期成長終了とともにあごの成長も落ち着きます。まれに、20歳を過ぎてもあごの成長が起こる場合があります。また、歯の移動スピードの個人差、口の中の清掃状態、全身状態の変化により、当初の計画を修正した方が治療効率・期間などが有利に働くことがあります。このような場合、現在までの進行状況と当初の予測を含め、修正した治療計画およびその理由をご説明させていただいた、ご理解いただいた上で計画の修正・変更を行わせていただきます。
 
装置の破損・紛失
 やむを得ない事情で、装置が破損あるいは紛失することがあると思います。直ちにご連絡くください。装置の使用できない時間があることにより、治療計画が円滑に進まなくなります。早期に修理あるいは再製作いたします。
 
後戻りと再治療
 矯正治療により歯・あごを動かした後には、後戻りの可能性が全員にあります。後戻りの防止には保定装置の使用が不可欠です。使用が不十分だと後戻りが生じます。当院では、移動期間と同じだけ保定装置の使用をしていただきたく思っています。きれいになった歯並びを維持できて初めて治療は終了です。ご協力ください。
 
領収書について
 紛失による領収書の再発行は承れませんので、大切に保管ください。どうしても必要な場合にはご相談ください。
 


あなたにとっていい先生とは?

 私も患者であればいい先生に出会って、すべてお任せしてよろしくと言いたいところです。ただ、現実には、歯科医院選びあるいは歯科医師選びが必要です。全国の歯科医院の数はコンビニの数より多いんです。ご存じでしたか?数が多いと言うことは、各歯科医院によって治療に差があると言うことです。どこでも同じ良質な治療が受けられると思えますか?だからしっかり選びましょう。
 診察の結果、先生の方から原因、病気の説明、対処方法、今後起こりうる不利益、予防するポイント
病気の診断は、はっきりとついたのか、まだはっきりしないのか、こういったことを、わかりやすく説明してくれた先生は、だいたいよい先生だと思います。

 もし、上記の点で、先生が説明してくれなければ、こちらから質問してみましょう。これに、笑顔で答えてくれる先生も、だいたいよい先生です。コミュニケーション力の高い先生は、笑顔なはずです。これに対し、説明が少ない、説明がわかりにくい、どうもはっきりしていない、あやしいという場合は、先生に、

 ”ちょっとよくわからなかったので、もう一度説明して下さい”

と言ってみましょう。これで、やな顔をされても、きちんと説明できていれば、OKとしてください。しかし、2回目の説明もあやしければ、いい先生とは、言い難いです。コミュニケーション力の高い先生ばかりではないので、愛想が悪いだけと言ったこともあり得ます。愛想が悪い、しかし、上手にすぐ治すという場合がありますので。

 まったく情報がなくては困るので、歯列矯正であればまず専門のところが無難だと思います(あくまで、参考程度で、信頼しすぎるのはよくないです)。複数の標榜科でもいいのですが、最後は、やっぱり自分で判断しましょう。(自分でランキングする)受診してダメだと思ったら、さっさと違うところへ行けばいいやっていう考えがいいと思います。(私はコレです。)
 
 手技は、経験によるところも多いですが、その先生のセンスによるところも大きいと思います。細かいことをやるのが得意かそうでないかで、速さ、正確さ、丁寧さがだいぶ変わってきます。これを、一般の人が見分けるのは不可能だと思います。それでも歯列矯正治療のように手技を必要とする場合、先生の能力差が気になるところです。

 この能力差は、30歳と50歳とで比較するとどうだと思いますか?

 おそらくみなさんは、50歳の方が経験的に上回っているから、すぐれていると思うのではないでしょうか。実は、これ間違いです。年齢は関係ありません。すべての人が高卒→大卒→医者とストレートになっている場合ばかりではありませんので、年齢を比較対象とすると間違える場合があります。

 正確だけど速いが大前提ですね。
 速いけどザツだったらどうにもなりません。

 私が勉強していて思ったことは、「医学とは無限に永遠に終わることのない勉強だ」ということです。なぜの繰り返しなのです。例えば、一本の歯の移動にしてもどこに動かすのか?どのような方向に力を加えたら一番効率的なのか?力の大きさは?何から力をかけるのか?反作用は?そのうち消し方は?年齢によって代謝が違うので、力は大きすぎないのか?歯周組織の状態は?どうすれば、どうやって、なぜ、なぜ・・・?

 永遠にこのなぜはなくならないのです。
 
 そして深く深く深くこのなぜをくりかえして、経験して、その中で個人差を考えて、毎日新しく発表される証拠を積み重ねながらやっと一つ理解できるといったことを繰り返します。

 思考回路が優れている+手技がうまい+人間性がよい

という先生が素晴らしく良い先生だと言えます。

 じゃー、みなさんが病院を受診して先生を判断するのはどうするか?
 それは、まずみなさんが、先生にちょっと多めに質問します。このちょっと多めというとこがポイントです。いろいろな症状のこと、治療方法のこと、治療期間のこと、なぜ?なぜ?何で?幼児のように質問してみてください。

 このような質問をして、それに対する説明が上手な先生は、思考回路の優秀な先生だと思います。

 なぜか?

 それは、いつもそのような質問を自分で自分にしながら歯列矯正の道を専門家として歩んできているからです。先生の説明が納得できなかったり、理解できなければもっと聞きましょう。丁寧に説明してくれるということは、人間性もよいということだと思います。

 だからみなさんも自分の悩み(不正咬合)について勉強してください。
 
 今の世の中、しかもこのHPを見ているあなたならネットで色々な情報がひっかかりますよね。ただしインターネットの情報は鵜呑みにしないように。すべてがあなたに都合良く当てはまるとはかぎりませんからね。

 歯列矯正を考えているのであれば、前もって何を質問するか考えておきましょう。

 先生を見抜く力を養おうってことです。要は、自分で先生を見抜けばよいわけです。それには、ある程度自分で、医療の知識、病気の知識を身につけます。目的は、先生と対等に話し合えるくらいになることです。診察時に先生となるべく長く話ができるようになることです。話が長くできれば、できるほど、先生がどんな先生かわかってきます。それで、診察が終わってから、自分で判断します。

「あの先生、なかなかやるな」って

 歯列矯正に関しては、大学病院が一番いいというイメージは捨てたほうがいいよということだと思います(もちろんいい先生もいます)。歯科大学は、全国に29ありますが、規模が大きいということは、いろんな診療科があり、先生も多いので、確かに、小さい病院よりはいいような感じがします。しかしです。結局、みなさんが病院に行くのは、一つの診療科に行くことがほとんどだと思います。そう考えると、大学病院は大きいけど、診療科を考えると、大きさはあまり関係ないことに気づきます。

 要はやっぱりイメージの問題だと思います。
 大きい=いい病院 というイメージです。

 しかし、これは違います。
 いい先生がいる=いい病院です。

 料金が違うのは、多少の差です。同じ病院で悩むより、ダメだったら違う病院へ行き、いい先生だと
自分が思うまで、病院を変えるのも一つの手かもしれません。

歯医者に実力差が大きくついているのは本当です。いい先生を自分でみつけて、そこで受診するようにしましょう。

頼りになるのは、自分だけです。