
当院は、顎口腔機能診断施設・指定自立支援医療機関、顎変形症の治療可能な病院として登録されております。
歯科矯正治療・歯列矯正治療の中には、健康保険が適応となる場合があります。顎変形症あるいはページ下方に記したような疾患を持っている方がその対象です。歯科矯正治療・歯列矯正治療のなかでも特殊な知識や技術を要することが多いため、国あるいは市町村から指定を受けた矯正歯科医院で治療した場合にかぎり健康保険が適応されます。単に”矯正歯科”を標榜しているだけではその条件は満たされません(ご注意下さい)。
指定自立支援医療機関の指定を受けるには以下のような厳しい条件をクリアした医療機関のみが対象となっています。
障害者自立支援法という法律に則って指定自立支援医療機関の指定が決定されます。
まず、それぞれの医療の種類の専門科目(私の場合は歯科矯正)につき、適切な医療機関における研究、診療従事年数が、医籍又は歯科医籍登録後、通算して5年以上あること。
適切な医療機関とは、大学専門教室・臨床研修指定病院などのことを指しています。 私の場合は、大学病院に16年半いましたので、クリアしていたということです。
さらに、歯科矯正に関する医療を担当しようとする場合には、研究内容 と 口蓋裂の歯科矯正に係る症例について記載したもの(5例以上)を提出する必要があります。
研究内容として提出したものは、”各種疾患のため上顎骨の著しい劣成長が生じた場合のRigid External deviceの適応について”というものです。上下のあごのバランスが病気のために大きくずれている患児に対する有効な治療法を検討していました。あごのバランスを整える手術は早くても高校生にならないとできません。また、ずれが大きいと一度の手術は済まない場合があります。そして、それまでの10年近くをあごのバランスがひどいまま(多くはいどい受け口になっています)のままで過ごすなくてはならず、何とかこの状況を打破したいというのが目的でした。結果はアメリカの学会などで報告してきましたが、一定の評価を得ました。その証拠に今でも大学病院ではその適応があるほどです。
それ以外には、スタッフの体制を整えるよう求められています。後でも書きますが、当院は日本でも珍しいほどの連携体制にて先天疾患の治療に当たっています。そのため、スタッフも歯科衛生士しかいません。病気に対する知識・理解とそれに伴う技術が欠かせないからです。当院の新人研修プログラムにも組み込まれており、患児および家族に対するケアもできる体制を整えています。
そして、顎口腔機能診断施設になるためには以下のような基準が必要です。特別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している必要があります:
・保険医療機関であること
・指定自立支援医療機関であること
・当該診療を行うにつき十分な専用施設を有していること(結構高額な機械です)
・当該療養につき口腔に関する医療を担当する診療科、または別の保険医療機関との間の連携体制が整備されていること
顎離断手術を行う連携医療機関の施設基準:
・外科(口腔外科、形成外科等)は指定自立支援医療機関(口腔に関する医療)であることが必要
顎変形症というのは、あごの手術をしなければ噛み合わせを治せないほど重症のあごのずれがある病気という意味です。この治療を行うには、歯科矯正・歯列矯正(手術用の並べ方で通常の歯科矯正治療とは異なります)→手術→歯科矯正・歯列矯正(通常の歯科矯正治療に近いもの)→保定(後戻りの防止)という過程で進む必要があります。
顎変形症の手術も障害者自立支援法の指定を受けた医療機関において行われなくてはなりません。その上それぞれの治療機関が連携体制をとっていなくてはならないということです。当院では市内に連携体制をとっている病院が複数(現在4施設で治療連携しています)あります。当院の連携は、診断、治療計画、手術の計画あるいは必要に応じて直接担当医師・歯科医師と話をする方法を採っています。
実は、大学に勤務していた頃からの提携を続けていただいているありがたい先生たちばかりです。面識もあるのでお互いに遠慮なく意見が言い合えるというのが本当の連携だと思っています。手紙・メールだけのやりとりでは良い連携とはいえないので、私が直接お伺いしてお話しさせていただいています。
また、北海道大学病院矯正専門外来副医長、および歯科(特に矯正歯科)ー形成外科チームの副主任としてチーム医療に取り組んできた経験を生かし、患者さんに最も、効果的な治療法を提供するよう努力しております。連携体制(チーム医療)の築き方は大学病院勤務時代に少しづつ経験を重ねながら、治療技術と共に身につけてきました。顎変形症あるいは指定疾患に伴う不正咬合の治療は、初回の検査・診断・治療計画の立案などすべてに渡り通常の歯科矯正治療・歯列矯正治療とは異なっているのです。また、手術に関する知識、疾患に関する知識はかなり必要ですね。簡単ではありませんが、上述のような厚生労働省の基準(プログラムの整った研修施設での研修後に取得する歯科矯正の認定医、治療経験、研究履歴等)をパスしないと安心の治療は皆さまに提供できないのではないかと思っています。
国の定める先天疾患は歯科矯正治療・歯列矯正治療が健康保険が適応となります(以下の疾患に起因した不正咬合の場合)。
唇顎口蓋裂
ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
鎖骨・頭蓋骨異形成
トリチャーコリンズ症候群
ピエールロバン症候群
ダウン症候群
ラッセルシルバー症候群
ターナー症候群
ベックウィズ・ヴィードマン症候群
ロンベルグ症候群
先天性ミオパチー(先天性筋ジストロフィーを含む)
顔面半側肥大症
エリス・ヴァン・クレベルド症候群
軟骨形成不全症
外胚葉異形成症
神経線維腫症
基底細胞母斑症候群
ヌーナン症候群
マルファン症候群
プラダーウィリー症候群
顔面裂
大理石骨病
色素失調症
口‐顔‐指症候群
メービウス症候群
カブキ症候群
クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
ウィリアムズ症候群
ビンダー症候群
スティックラー症候群
小舌症
頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む)
骨形成不全症
口笛顔貌症候群
ルビンスタイン-ティビ症候群
常染色体欠失症候群
ラーセン症候群
濃化異骨症
6歯以上の先天性部分(性)無歯症
チャージ症候群
マーシャル症候群
成長ホルモン分泌不全性低身長症
ポリエックス症候群
リング18症候群
リンパ管腫
全前脳(胞)症
クラインフェルター症候群
偽性低アルドステロン症(ゴードン症候群)
ソトス症候群
グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
以下は、当院のみが連携体制をとっている治療方法についてのお話しです。当院では先天異常を有する方のため他科、特に北海道大学病院形成外科、斗南病院形成外科、市立札幌病院形成外科と協力してチームアプローチ治療を行い、長期的かつ総合的な視点で治療を進めていく体制を組んでいます。
上記の先天疾患のなかでも頻度が一番多いのが唇顎口蓋裂です。口唇裂・顎裂・口蓋裂の場合、哺乳や、我々のチームでは、初回手術前の準備としてPNAMやHotz床を改良し、オリジナルな装置を開発しました。それを適応し、良好な結果(短期ですが)を得ています。特にHotz床に関しては歯茎に対する効果がないことが分かってきました。哺乳の補助的装置としてのみの役割であるということです。開発したスイスのチームですらその結果に反論ができないのです。歯茎や口蓋に対する効果を求めるのであれば、我々の装置の方に利があります。我々の装置は、口蓋に対する効果・歯茎に対する効果・鼻に対する効果が明らかで、哺乳の補助的装置としても素晴らしい結果を残しています。最終的な判断には時間を要しますが、今後の主流となることでしょう。
